Normalisation of Life

MD/Doctoring my doctor's document

CBT以前,CBT以後

1/30,CBT(Computer-based Test)を終える.

本試験は医学部においては,本年度より病棟実習の際,医学的侵襲行為における違法性を阻却する為に必要となるStudent Doctorのライセンス取得のための,資格試験として機能することとなった.それに伴って昨年度以前の合否判定基準は変更され(神戸大学医学部においては-2SD以下,つまり母集団の下位約5%が不合格判定を受けることになっていた),国際基準と照らし合わせることで,多少合格基準が上昇することになった.

とは言え,大半の医学生にとってはやはりそれほど大きな変更かと言われるとそうでもなく,焦燥感を多少煽る事にはなるだろうが,実際問題それほどのものではないだろう.

 

さて,そのCBTが如何様なものだったかというと,何とも言えないものだった.筆者はここ1,2年で整備された国試対策予備校が提供するCBT模試・CBT対策講座等を受講してはいなかったため,本試が実際にCBTの空気を味わう最初で最後の機会(になると思いたい)であった.

 

CBTは6つのblockに分かれ,block1が医療倫理や基礎医学と呼ばれる,病気のどちらかと言うと背景的知識を問う問題群,block2-3,そして4の一部は分かりやすい医学知識(病気の症状など),また4には公衆衛生(社会保障制度,疫学など),block 5は2連問と呼ばれる2つの問題に対し,共通の選択肢(15択ほど)を用いる問題,そして最後のblock6は4連問と呼ばれる,臨床における対応を意識した問診方法などを問う構成となっている.すべての問題は選択式であり,客観試験だ.

 

さて,受験してみての感想としては,やはりを言うか,予想よりは難易度が高めに感じた.CBTではトータルで320問の問題を解くことになるが,そのうち80問は新作問題と言って,採点対象にならず,除外問題となる.受験者の正答率等を鑑みて,来年度以降その問題を使用するかどうかを審議するのである.そして残りの240問はプール問題と言って,予め問題ストックに貯めてある問題から出題されている.

プール問題は,(本来あってはならないはずだが)「Qestion Bank」や,「こあかり」と呼ばれる再現問題集に類似,または全く同じ問題が掲載されている可能性が高く,要するに解答がしやすい.しかし新作問題はプール問題の傾向を踏まえるとは限らず,従って対策が薄い箇所も出題されることになる.よって予想よりは難易度が高く感じるわけである.

 

その新作問題についてだが,(僕が引いたであろう新作問題は)個人的に今までのCBTの傾向と異なってきているように思える.QBやコアカリといった問題集には基本的に「病気自体の知識」を問う問題が多く掲載され,治療方針や問診に関する問題は非常にす少ない.だが,今回見た問題の中には,「〜の患者において,先ず問診すべきことは何か」,「この場合における治療法は何か」等,病気の知識を前提とした問題が散見された.僕自身は実際に知らないので何とも言えないが,国試もどちらかと言うと知識を前提として,その先を問う問題が増えているという.その辺りは近年のトレンドを踏まえた結果なのだろうか.はっきりとは分からないが.

 

何はともあれ,CBTを終え,一つの山は終わった.ここから暫くは試験対策から離れ,興味のある分野や,知識を補いたい分野の為に時間を使えることになる.この時間こそが本当に有用なものであり,最近の「スキマ時間」を埋めるカリキュラム変更には個人的には眉をひそめざるをえない.しかしまあ,短くなっても効率を最大化することは常に可能であり,その意識を持って上手く時間を使っていく次第だ.